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EXPERT STORY
エキスパートストーリー
ミニカーショップオーナーのLOVE (1/2)
ミニカーショップ「ウッドストック」オーナー / 村澤 裕実
ひとくちにクルマ好きといっても、さまざまなジャンルやカテゴリー、趣味趣向があるもんだ。なかにはクルマはクルマでも、ン分の1のスケールモデル、『ミニカー』を買い集めることに無上の喜びを感じている人たちがいたりもする。
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エキスパートプロフィール
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「乗れないクルマなんてダセぇゼ!」とトンがるなかれ。ミニカー・ファンのクルマLOVEは、フェラーリを駆るリッチマンや、VIPを転がすパンチ頭と同等か、もしくはそれ以上なのだ。 エキスパートストーリーの記念すべき第1回目は、ミニカーショップ『ウッドストック』のオーナーであり、熱烈なコレクターでもある村澤裕実さんに『ミニカー』を存分に語ってもらった。単なるおもちゃとはいい捨てられない魅力的なミニカーの世界。まったく興味がないって人も、読めばハマること請け合い!?
村澤 裕実 写真
ミニカーLOVEを語る村澤裕実さん。
>MSC(以下省略): 趣味が高じてショップまでオープンさせてしまった村澤さんですが、現在までに何台コレクションされました?

村澤(以下省略): う〜ん、数えたことがないからなぁ。ミニカーの商売を始めてから、「どうしても譲って!」ってお客さんから頼まれて、だいぶ手放したんですよ。最盛期には5000台はあったんじゃないかと思います。今でも家にあるモノと貸倉庫で保管しているモノを合わせれば、軽く1000台は持っていると思います。

>そもそもミニカー・コレクションの魅力ってなんですか?

バーチャルでクルマを所有した気分が味わえること。カー雑誌を見ながら、「このクルマが欲しいなぁ」って憧れる気持ちの延長線にミニカーがあるんです。フェラーリやポルシェといった、"夢のクルマ"のミニチュアを目の前に置いておくと、「このクルマが買いたいから、もっと頑張らなきゃ!」って励みにもなります。

村澤 裕実 写真
↑店内にはホンモノのバラクーダが!
>"ミニカー"と"実車"、本当はどっちが好きなんですか?

ミニカーは"所詮ミニカー"。断然実車の方が好きです。世の中には実車を何台も所有しているお金持ちもいるけど、普通の人にはムリじゃないですか。「実車には手が出せないけど、ミニカーなら買える」っていうお手軽さがミニカー・コレクションの醍醐味。ミニカーとは比べものにならないくらい実車には価値があるんです。

>ミニカーそのものにはあまり価値がないと…。

もちろんミニカーにはミニカーの良さがあります。たとえば私が乗り継いできた歴代のクルマをミニカーで持っているとします。そのうちの1台を手に取ると、当時の記憶がフィードバックしてくるんです。「あの頃はよかった」、「このクルマで何所に行ったな〜」って。ミニカーが想い出のアルバム代わりになっているんです。


村澤 裕実 写真
↑西海岸テイスト溢れる『ウッドストック』。
>青春時代、村澤さんが夢中になっていたのは何ですか?

若い頃はアメリカに憧れていました。音楽に影響されたんです。ビーチボーイズやディック・デイルといったサーフィン、ホッドロッドサウンドが大好きで、ウエストコーストのカルチャーに傾倒していました。レコードはもちろん、マッチや灰皿といったモノでも、アメリカの臭いがすればなんでも集めていました。

ディック・デイル:King Of Surf Guitar。60年代初期から活躍する、サーフィン・インスト・ミュージックの創始者。94年に映画『パルプ・フィクション』に"ミザルー" が使用されて一般に知られる存在に。クルマ好きにとっては『TAXI』のテーマといった方がわかるかも?

サーフィン、ホッドロッドサウンド:カリフォルニアのティーンエイジャーの2大マストアイテム、『サーフィン』や『クルマ』を題材にしたサウンド。代表的なアーティスト はビーチボーイズ、ジャン&ディーンなど。

ホッドロッド:アメリカにおけるカスタムカー・カルチャーの源流。T型フォード等のフェンダーを取り外して、スピードを競ったのが起源。現在では、直線だけはめっぽう速そうなお尻の上がったクルマをホッドロッド仕様と呼んだりする。
>もちろんクルマはアメ車?

目玉が飛び出るほど高くて外車は買えませんでした。1ドルがまだ360円とか250円の時代ですから。フォルクスワーゲン・ビートルが流行りたての頃、私も「欲しいな〜」と思ってはいたんですけど、当時はワーゲンすら若者には手が出せない高価なクルマ。普通のサラリーマンだったし、外車なんて夢のまた夢でしたよ。

村澤 裕実 写真
↑(手前から)マスタング、バラクーダ、カマロ。
>それで実車代わりにミニカーを集め始めたんですね。

はい。特にS・マックイーン主演の映画『ブリット』を観て、マスタングのファストバックにホレ込んじゃって。いまだに私の中ではベストな一台です。50〜60年代のアメ車が基本的に好きなんですが、マッスルカーは特にカッコイイ! しかも速い! でも買えない(笑)。ミニカーやプラモデルを飾ってガマンしていました。

ブリット:スティーブ・マックイーン主演の刑事アクション映画。早回しナシ、全部ホンモノというド迫力のカーチェイス・シーンが今も映画ファンの間で語り草となっている。1968年作品。
マッスルカー:60年代初頭〜70年代中頃までアメリカで多数生産された、ハイパフォーマンス・バージョンの市販車。ドラッグレーサー用に開発されたハイパワーエンジンを搭載する。
>現在、集めているのは、どんなミニカーですか?

ミニカーなら何でもです。イタリア車専門とかレーシングカー専門とか、特定の領域を集める人が多いんですけど、私の場合はノンジャンル・ノンカテゴリー。アメ車でも国産車でも、スポーツカーでもトラックでも、"いい"と思った物はコレクションに加えています。ダイキャスト製でもブリキ製でもこだわりなく買っています。


村澤 裕実 写真
↑アメ車がズラリ。マニアならずとも欲しくなる。
>おこづかいが足りなくなったりしませんか?

コレクターにお金の苦労は付き物ですよ。自分のことはカミさんにバレるとマズいので話せませんが(笑)、昼食代を節約したり、ボーナスを内緒で突っ込んだりしているコレクターもいます。限定品もあるし、出会ったときに買わないと。買わずに後悔するより、買ってから後悔した方がコレクターにとってはマシなんです。

>お値段はいくら位するんですか?

数百円からン十万円まで、ピンからキリまであります。クオリティーも子供のおもちゃレベルから芸術作品レベルまで実に幅広い。このまえウチの店で60万円以上もする6分の1スケールのエンツォ・フェラーリを8台仕入れたけど、あっという間に完売! 2台も買ってくれたお客さんもいました。新車のヴィッツが買えますね。

村澤 裕実 写真
↑台座に実車のシートと同じタンレザー使用。
>1台分でもヴィッツ買えますよ、中古だけど…。

プロのモデラーがハンドメイドで仕上げたミニチュアは、高価なだけありハンパなく良く出来ています。エンジンパーツのひとつから、シートベルトまで本物そっくりに造っている。実車を持っている人とか、クルマを商売にしている人の中には、量産品のミニカーでは物足りないっていう人もいるんです。

>普通の量産品はどうですか? 造型が悪かったりしますか?

数千円クラスでも最近のモノは十分すぎるくらい出来がいい。数を集めるには最適です。でも、より高いクオリティーを求めると、1台数万円位はしますね。このポルシェ935(写真下)、よく出来てるでしょ? 外観、内観共にリアルに再現されている。
バケットシートに取り付けてあるハーネスに、バックルまでしっかりと付いてますよ。

ハーネス:馬車馬の引き具の意。クルマ用語では、「フルハーネスシートベルト」のことを指す。レース車両に取り付けられている、4点式、もしくは5点式のシートベルトで、市販車に通常装備の3点式シートベルトに比べてホールド力が強い。
村澤 裕実 写真
↑マニア垂涎のエクゾト社製ポルシェ935。
>すごく精巧に造られていますね。まさにマニア垂涎の逸品って感じです。

このポルシェ、アメリカから直接買い付けてきたモノで、日本の正規代理店は扱っていないんです。この「日本じゃ買えない」って一言がマニア心をくすぐるんですよ。即買わなきゃって。もちろん自分でも欲しいから仕入れたんですけどね。ないものを欲しがるコレクター魂が邪魔をして、どうもプロに徹しきれないというか・・・。

>マニア泣かせのレアなミニカーが、一番よく売れているんですか?

「どのモデルが一番」ということは特にないですが、クルマ最大の魅力、"スタイリング"が優れているクルマは人気があります。カッコよくて速いクルマ、スポーツカーのミニカーが基本的には一番売れますね。いつの時代もスポーツカーは憧れの対象であり続けているってことでしょう。

村澤 裕実 写真
↑一部のマニアにゃたまらないレトロなトラック。
>スポーツカー以外のミニカーはあまり人気がないのですか?

少数派ではあるけれど、トラックのミニカーばかり集めているって人達もいます。スポーツカーには見向きもせずに、トレーラーやダンプ、ピックアップのみを探している。もっとディープなところでは、ブルドーザーやクレーンといった重機専門のコレクターもいます。

ピックアップ:ピックアップ・トラックの略。ボンネット型の小型トラックを指す。例:トヨタ・ハイラックス、ダットサン・トラック等
>ひとくちにミニカーといっても、いろんな種類があるんですね。

このクーガーを見て下さい(写真右下)。ゴミ捨て場から持ってきたワケじゃないですよ(笑)。わざとポンコツを再現したミニカーなんです。サビも剥き出しのパテ痕も狙って造っている。実際にアメリカでは、こんなクルマがバンバン走っています。救急車に霊柩車、新車にポンコツ。実車に匹敵するくらいの種類がミニカーにもありますよ。


村澤 裕実 写真
↑ポンコツ加減がナイス!
>それだけ種類があれば、愛車のミニカーも見つかりそうですね。

愛車のミニカーを買って行く人は多いですね。シビックに乗っている人が、シビックとインテグラ、どっちのミニカーを買うかといったら、やはりシビックを選びます。スタイリングを含めて好きだからこそ乗っているんだし。ミニカーなら愛車を手のひらに乗せて、下からでも斜め上からでも、どこからでも眺められますしね。

>かなりナルシスティックですよね。

モデルもカラーも愛車とまったく同じミニカーを車内に飾っている人もいます。しかも、ご丁寧に自宅ガレージのジオラマまで作って。もっと凄いマニアになると、「フェンダーが似ていない」とかいいながら、タミヤのパテで市販のミニカーを加工し直しています。それもミニカーならではの楽しみ方ではありますよね。

フェンダー:ボディと一体となった泥除け。クラシックカーなどで見かける車体から独立して取り付けられた泥除けはサイクル・フェンダーといって区別する。
村澤 裕実 写真
↑お客さんとのマニア話に花が咲く!
>客観的には「そこまでするか!」って感じですね。

コレクションって自己満足の世界なんです。興味がない人にはどうってことないモノを手に入れて喜んでいるわけですから。私はたまたまミニカーを集めていますが、傍から見れば、切手コレクターもビールの王冠コレクターもどれも同じ『マニア』や『オタク』なんです。

>でも、コレクター同士ならわかり合える…。

そうなんです。「ショップを始めて良かったなー」と感じるのも、お客さんとクルマやミニカーの話ができるところ。普通の仕事に就いていると同じ趣味の人達と知り合う機会って、あまりないじゃないですか。でもお店なら毎日趣味の話で盛り上がれる。ビジネス抜きで考えたら、これほど幸せなことはないですね。


エキスパートプロフィール
取材日:2005年5月13日
連載期間:2005年6月6日〜6月20日(全2回)


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