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EXPERT STORY
エキスパートストーリー

HEROになるために…、Mチャレ・スーパークラス初年度チャンプに輝く!!(2/2 最終回)/松井有紀夫

2008年に登場した、MSCチャレンジ・スーパークラス。Mチャレ史上最高峰の戦いにおいて、シリーズチャンピオンを見事獲得した男、それが松井有紀夫だ。爽やかな笑顔を振りまきながら、過激などリフトを続けた男・松井のドリフト人生がここにある。
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エキスパートプロフィール
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D1グランプリ、D1ストリートリーガル、BM杯、そしてMチャレ……ドリフトのBIGタイトルに挑み続けてきた松井有紀夫が、ついにその頂点に立つ。シリーズチャンピオンの称号、そしてシリーズチャンピオン賞金100万円+優勝賞金20万円を獲得した、2008年ノリにノッっていた男の、戦い抜いた1年間の歴史がここに刻まれる。

松井有紀夫 新春特別インタビューその2(最終回)
2008年4月20日 鈴鹿ツインサーキット(三重県)
スーパークラス 第1戦 準優勝 [JZA80 スープラ]

> MSC(以下省略):さて、では昨年行われたMSCチャレンジ・スーパークラスの戦いについて、振り返ってもらいましょう。

スーパークラスの開幕戦は、三重県の鈴鹿ツインサーキットからスタートしました。この日はMSCチャレンジ全体での開幕戦ということもあり、参加者もギャラリーも満員御礼のなかで行うことが出来ました。ではこの日の戦いを、松井選手に振り返ってもらいましょう。

松井(以下省略):あまり走ったことのないサーキットですが、もちろん開幕戦から勝って、確実にシリーズを獲りたいと思って挑みました。しかしそう思ったようにはいきませんでしたね。この大会で優勝したのは、S15に乗る愛知県の横井昌志選手。トーナメントの決勝戦で戦って、負けたときは本当に悔しかったです。でも今思えば、逆にこのときに勝っていたらシリーズは獲れなかったと思っています。初戦から優勝していたら、ひょっとしたらですが僕はMチャレ・スーパークラスという大会を舐めてしまったかも知れません。

トーナメント戦の決勝戦時、言い訳に聞こえるかも知れませんが、正直タイヤが無かったんです。それは履いているタイヤが減っているだけという状態ではなく、もうこの日履き替えることの出来るタイヤ自体無かったんです。

この大会へは自走で行きました。それで替えのタイヤも、思ったほど積んでいけなかった。ひょっとしたら「タイヤが足りなくなるかも…?」とも思いましたが、積めないのだから「しょうがないや」という気持ちで出発しました。あれもこれも「まあいいか」という気持ちがありました。自走なんだからしかたがないと、変に自分を納得させていたんでしょうね。

それでも予選は上手くいきました。それからチェイスバトルでのトーナメント戦に入ってからも、自分的にはかなり順調にいっていたと思います。だけど、準備の甘さといった心構えの部分で勝てなかった1戦となりました。そういうことがあったから、僕も必死で本気になった。このシリーズ戦で絶対にチャンピオンを獲ってやるって……。


2008年5月18日 エビスサーキット・南コース(福島県)
スーパークラス 第2戦 準優勝 [RPS13 180SX]

>スーパークラス第2戦の舞台は、エビスサーキットへ移ります。ここは松井選手が走り込んだコースですよね。

僕が初めてサーキットに行ったのは19歳くらいのときですね。それがエビスサーキットで、北コースでの走行会でした。ドリフト大会というものに出たのは、そのすぐ後です。僕は初めてサーキットに行ったことによって、僕のなかのドリフトというものの捉え方が変わったんです。

それまでは、ストリートでドリフトを楽しんでいたんですが、サーキットで走行したことによってサーキットに目覚め、逆にストリートには行かなくなりました。その代わりエビスサーキットに通うようになりました。

サーキットに通うようになってから、やはり大会に出たくなり、たしか「ap杯」というクルマ雑誌が主催したドリフト大会に出場しました。そのときはもちろんビギナークラス。当然、最初は勝てなくて、それが悔しくて本格的に走り込み始めた感じですね。

>松井選手は東京都出身ですが、関東近辺のサーキットよりも東北地区にあるエビスサーキットにより強い影響を受けたワケですね。

僕の走りがすごく変わったと感じたのは、エビスサーキット南コースで行われたBM杯のミドルクラス大会ですね。それまではエビスサーキット常連の人たちにも「よく来ているな、あいつ」というような感じで見られていただけだと思います。しかし、その大会の雨の準決勝での俺の走りは、みんなにとっても印象に残っているらしく、今でも言われるときがあるくらいなんです。あのときから、僕の走りが確実に変わりました。


エビスサーキットの良さって、貸し切りが入っていないときは、基本的にフリーで走れるんです。とにかくたくさん走れる。それを体験しちゃうと、走行会のように何分×何本というのが、非常に少なく感じてしまうのです。だからエビスサーキットまで、家から距離はあるけど、その手前にあるサーキットには行かずに、エビスサーキットのフリーを走り込みましたね。僕にとって思い入れのあるサーキットなんですよ、エビスサーキットは……。

>そんな感じだから、何としてでもここで勝ちたかったのですね。

ええ。僕が得意とするエビスサーキット南コースでの大会。しかし朝からクルマの調子が悪く、最後にはエンジンブローしてしまいました。この日優勝したのは、JICのRX-8に乗る神奈川県の山下広一選手でした。トーナメント戦の決勝までなんとか勝ち進んでいき、一応最後まで走りましたが、マシントラブルでの敗戦となってしまいました。


2008年7月6日 DECセキアヒルズサーキット(熊本県)
スーパークラス 第3戦 予選敗退 [JZA80 スープラ]

>ここまで優勝こそありませんが、開幕から連続2位。なかなか好調な滑り出しだったんじゃないですか?

そうですね。悔しい戦いが続いていますが、シリーズポイントは2戦終了した時点でトップでしたから。そんななかで迎えたDECセキアヒルズサーキットでの九州大会は、かなり辛いものになりました。

DECセキアヒルズは、走ったことはあります。しかし、スープラを持ち込んだのは初めてでした。第1戦では準優勝を獲得したスープラでしたが、DECセキアヒルズサーキットには、はっきりいってトルクとパワーカーブとギヤ比がまったくコースに合いませんでした。それが僕にとって最悪の結果をもたらしました。でも実際にコース上で走らせているときは、それがまったくわからなくて『こんなもんだろう』という感じで、いけると思っていましたね。

でも、外から見た感じがまったくダメだったらしくて、予定外の予選落ちとなってしまいました。屈辱でしたね。予選落ちは僕の頭のなかではありえないと思っていましたし、あってはいけないことでしたから……。ちなみにこの日優勝したのは、C33ローレルに乗る愛媛県の松野久広選手でした。

>1戦目はスープラ、2戦目はRPS13、そしてこのDECセキアヒルズはスープラに戻してきました。この時期、RPS13とスープラを同時進行で様々な大会に出場していましたよね。それが運転に違和感が生まれるということはありませんでしたか?

D1のストリートリーガルが始まった当時、ストリートリーガルとD1グランプリの両方に出場しますっていうような人がいたじゃないですか。その頃は、例えばS14とS14とかS13とS13、というように同じ車種だけど違う仕様のクルマで、大会に出場するという人が多かったのを記憶しています。しかしそうなると、同じクルマなんだけど微妙な動きが違ったりして、とまどう人が多かった。僕もその2つの大会に出場していましたが、僕の場合はまったく違うクルマで出場したから、そういった混乱はなかったですね。

BMWとRPS13を使っていたときは、右ハンドルと左ハンドル……と、根本的に操作性からまったく違う。それに動きもパワーも違います。そんな点からも頭の切り替えが上手くいっていたのでしょうね。 逆にそういうことも経験していましたから、今回スープラと180SXでの出場でも問題なかった。

だからこの予選落ちも、もちろんクルマのせいではありません。あくまで僕の認識の違いから起こったことでした。でもこの予選落ちは、本当に堪えました。この予選落ちにより、シリーズランキングも3位に落ちましたし……ね。


2008年7月19日 岡山国際サーキット(岡山県)
スーパークラス 第4戦 準優勝 [JZA80 スープラ]

>予想外の予選落ちから約2週間後に行われたのが、岡山国際サーキットでのスーパークラス。この日はスーパークラスのみの開催となりました。第3戦からあまり時間はありませんでしたが、気持ちは上手く切り替えられましたか?

そうですね。外から見える走りというのを、とにかく気にしました。見ている人の意見などを聞いたりして、より良い情報を集めました。連続で予選落ちなんてことは僕には許されませんし、同じミスは2度としたくありませんでしたから。この日の予選は3番手通過。自分でもまずまずの出来だったと思います。

トーナメント戦も順調に勝ち進み、決勝戦まで勝ち上がりました。しかし、ここでも2位。優勝はS15に乗る兵庫県の軸屋清文選手でした。たしかに軸屋選手は乗れていたし、自分的にも今回の2位はまずまずの結果だったと思います。軸屋選手は僕以上に乗れていたし、彼の自信の大きさも感じられました。それにクルマとのバランスも良く、この大きなコースにもマッチしていました。負けたのはたしかに悔しいですが、自分にとって今回は納得の2位でした。



2008年11月3日 茂原ツインサーキット(千葉県)
スーパークラス 第5戦 優勝 [JZA80 スープラ]

>スーパークラスの初年度は、全5戦で組まれました。第4戦で2位を獲得し、シリーズポイントも2位以下に7.5ポイントを付け、トップで迎えた最終戦でしたね。このポイント差のおかげで、かなりリラックスして望めましたか?

いや、そんなことはなかったですね。スーパークラスでシリーズを獲るために挑んだ大会でしたが、これまでの内容は2位3回という成績で、シリーズランキングは1位になっていました。たしかに数字的には、かなり余裕がありましたよ。

しかしまだ僕には、このスーパークラスでの優勝がない。どうしても最終戦の茂原ツインで勝ちたいと思っていました。優勝しなくても、かなりの確率でシリーズチャンピオンは獲れることは分かっていました。でもそれだけは、本当に嫌でしたね。

ここで勝って、シリーズを獲る。まだ勝ちはありませんが、そんなカッコイイシリーズチャンピオンはないと、そのとき本気で思っていましたから。絶対優勝してやろうと思っていたら、朝からなぜか調子も良かったんです。朝の練習を走ったときから、僕のなかでは「いけるだろう」という気持ちを8割近く持っていましたね。

この日僕の周りの人間も「今日は松井しかないよね」と言ってくれました。それくらいこの日の僕は、朝から乗れていたと思う。しかし逆に「勝たなくてはならない」というプレッシャーが2割、僕のなかに存在していたのも事実です。

そのプレッシャーをうまく撥ね退けて、優勝でシリーズチャンピオンを決めることが出来ました。これは本当に嬉しかったですね。この勝利には、格別なものがありましたよ。


2008年を振り返って……
スーパークラス・シリーズを通じて感じたこと

>このシリーズを通して、松井選手が驚異に感じた人はおりましたか?

う〜ん、どうだろう。気になっている人は多かったですよ。特に初戦、トーナメント決勝戦で負けた、横井選手ですね。正直、横井選手にはストリートリーガルでもトーナメント戦で戦って、結構負けていますから……。

その他にもシーズン途中からメキメキと頭角を現してきたC33ローレルに乗る愛媛県の松野久広選手や、関東の雄・チャンプ山下広一選手なども強敵でした。しかし僕は、誰にも負けないという気持ちを最後まで強く持って挑んだ、そんなシーズンでしたね。


>2008年ドリフトシーズンを振り返っての感想をお聞かせ下さい。

スープラに乗り換えて、最初のころは意外に苦労しましたね。ギルドエヌワンが製作したクルマで、もちろん自分のクルマではない。どうしたら自分に合わせて良くなっていくか、考えながら乗りました。

あのスープラは軽量化もあまりやっていないこともあって、かなり重いクルマなんです。実測で1600kgもある。それを途中で「もっと軽くしたい」とも思ったんですけど、オーナーのほうが「1600kgというハンデがあったほうがカッコイイんじゃないか」といっているのを聞いて、僕も「それもアリじゃん!」と思うようになりました。そんななかで、どんどんみんなでクルマを良くしていって勝てるようになったんです。

クルマ自体のパワー面などは、見直しましたね。最終的に600馬力くらいまで持っていきました。あとはドリフトにおいて重要となる足も見直しました。ナックルはオーナーが作ったり……みんなが外から見ていてクルマの動きをどんどん変えていってくれて、今では本当に良いクルマに仕上がっています。

2008年度は皆様のおかげで、Mチャレ・スーパークラスのシリーズも獲れ、本当に感謝しております。


>それでは2009年度の抱負をお聞かせ下さい。

今年は、新しい挑戦を色々していきたいと思っています。ドリフトももちろんですが、レースもやってみたいですね。僕の目指すところは『ヒーローになる!』ことなので、それに向かって進んでいきたいと思っています。

僕のなかのヒーローといえば、織戸 学選手と谷口信輝選手です。そんな先輩たちに色々なことを教えてもらって、良い勉強、そして刺激をたくさんいただいております。だから僕の目標である織戸選手、谷口選手に追いつき、そして追い越せるように、これからも頑張っていきたいと思います。(了)


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