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エキスパートストーリー
レース界の番長、かく語りき (1/8)
レーサー / 黒澤< 琢弥
エキスパートストーリーになんと、泣く子も黙るレース界の番長、黒澤琢弥選手が登場! キャリア20年のベテランだからこそ許される(?)、レース界のマル秘トークを8回にわたって掲載していくゾ!
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エキスパートプロフィール
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<strong>黒澤</strong> 琢弥 写真

黒澤琢弥インタビューその1
今シーズンを語る

> MSC(以下省略):現役生活20年の大ベテランレーサー、黒澤琢弥さんにご登場願いました! 貴重で楽しいエピソードをいっぱい伺えたらと思っています。よろしくお願いします!

黒澤(以下省略):オレにおもしろいエピソードなんてあるかぁ? ずっと崖っぷちギリギリのところでレースしてきたし・・・。「おもしろい」とか「楽しい」とかって感じたの、最近のことだもん。話がつまらなかったらゴメンナサイって感じだな。大丈夫か?

> 酸いも甘い噛み分けた黒澤さんが何をおっしゃいますか! そうご謙遜なさらずに!

そうかなぁ。まあ何でも聞いてよ。

> では、まずは今年のレースのことから伺います。
S耐スーパーGTに参戦中ですが、S耐が好調な反面、GTではご苦労続き。原因はいったい何でしょう?

いきなり厳しいねぇ。確かにS耐に比べて、GTは納得のいく成績が出ていないけど、単純にどっちがどうって比較できることではないんだな。レギュレーションも違うし、GTにプライベーターから参戦すること自体がオレにとっては初の試みでもあるんだから。

S耐:スーパー耐久シリーズの通称。市販車のオリジナリティを重視したファインチューニングマシーンによる本格的耐久レース

スーパーGT:SUPER GT選手権。市販車ベースのレースでは世界最速! フォーミュラカー並みのコーナリングスピードと、大接戦のレース展開は必見!!

プライベーター:資金を自ら集めて参加しているチーム。自動車メーカーから間接的に支援を受けているチームもプライベーターに属する。

ワークス:自動車メーカーが直接的に運営しているチーム。ファクトリーともいう。
<strong>黒澤</strong> 琢弥 写真

>ワークスとプライベーターでは勝手が違います?

そりゃワークスとは違うよ。予算もクルマも全然違う。メーカーはどうしても勝ちたいから、年間何億、何十億って予算を使う。でもプライベーターは10分の1くらいの予算で細々と運営している。いろんな部分で違ってくるのは、しかたがないことだよね。

>ワークスが長かった黒澤さんがプライベーターから参戦すると聞いたときは少し意外に思いました。

もしオレがメーカーの人間で責任ある立場だったら、あと何年現役を続けられるかわからない43歳のドライバーは乗せないよね。何億、何十億って予算を預かっているんだし、チームの将来性を考えたら、若くて活きのいいドライバーを継続して乗せるよ。

>「ワークスがダメでも、プライベーターがあるさ!」って開き直った感じでしょうか?

最近になって、やっとレースが楽しくなってきたところだし、ワークスのシートがもらえないから即引退っていうのは考えていない。 新たにチームを立ち上げるという選択もあるし、オレの技術や経験を必要としてくれるチームで期待に応えるって選択もあるしね。

>そこで今回は後者を選択した、と。やっぱ楽しいうちは辞められませんよね。

20年もレースをやってきて、まだグリッドにつける身体でいられるってのは幸せだよね。過去にはクラッシュして「こりゃ死ぬわ」ってことも5回や6回はあったし。ピンピンしてるってことは、神様が「まだレースをしていなさい」っていってるのかもしれないな(笑)。

<strong>黒澤</strong> 琢弥 写真
ところで、今年のクルマはどうですか?

S耐のアルテッツァはすごくシャーシがいい! アクセル全開でガンガン攻められるオレ好みのマシン。ほぼ市販車のままなのに、フィーリングがF3フォーミュラトヨタに近いんだな。オレが開発に関わっているタイヤも、5年で7秒くらい速くなってきているしね。

>死角ナシの仕上がりですね。かたやGTのフェラーリはどうですか?

GTはまったく正反対。フェラーリのエンジンはどの車よりもパワーがある。600馬力は超えているんじゃないかな。直線番長ではあるけれど、はれものに触るようなアクセルワークをしないと、ホイールスピンしちゃうんだよね。シャーシとボディ剛性はイマイチだし。

F3:フォーミュラ3。統一レギュレーションで運営されているF1や国際F3000に続くインターナショナルカテゴリー。

フォーミュラトヨタ:国内初のワンメイクフォーミュラF3などへのステップアップカテ ゴリーとして、若手ドライバー育成に貢献している。

ホイールスピン:タイヤが空回りすること。エンジンパワーにタイヤのグリップ力が負けているときに起こる。
>テクニックでねじ伏せて走っている感じですね。

見た目にもカッコいいし、ダンロップのタイヤも申し分ない。でも運転は難しいよね。オレとミツ(光貞秀俊選手)だから乗れるけど、F3の若手ドライバーなんて乗せたら、1周すら走りきれないんじゃないかって感じ。まあ、それもフェラーリの味なんだろうけどね。

>『跳ね馬』というよりは『ジャジャ馬』ですね。

うん。ドライなのに雨みたいな運転しなくちゃいけないし・・・。でも、雨降ると速い! ボディ剛性がないからスタビ外したみたいにグリップする(笑)。TIでは金曜日に雨が降ったんだ。その時はなんとワークスのクルマとコンマ2〜3秒の争い!でも、土曜日になったら、いきなり2秒も遅い(笑)

>S耐は攻めの黒澤ドライビングを、GTは無理やりねじ伏せて走るテクニックを見てくれって感じですかね?

まあそんなトコだな。S耐は何も心配なし。最高のレースを期待して! GTは厳しい戦いになるとは思うけど、ワークスチームもびっくりの、大ドンデン返しを見せられるように頑張るよ!

光貞秀俊選手:スーパーGT黒澤選手とチームを組むドライバー。国内外の様々なカテゴリーに参戦経験がある4輪レース歴15年のベテラン。

TI:岡山国際サーキット。以前は「TIサーキット英田」という名称であったことから、いまだにTIと呼ばれている。

スタビ:スタビライザーの略。左右のサスペンションアームを連結するコの字型のバー。ねじれ反発を利用して車体の傾き(ロール)を抑える。


エキスパートプロフィール
取材日:2005年6月16日
連載期間:2005年7月7日〜8月25日(全8回)


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