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EXPERT STORY
エキスパートストーリー
レース界の番長、かく語りき (6/8)
レーサー / 黒澤 琢弥
今回はCART時代のライバル、ファン-パブロ・モントーヤについて語ってもらった。レース界きっての「暴れん坊」はリアルにヤバイのか? それともメディアが創り出した虚像に過ぎないのか? 番長の目にはどのように映っているのだろうか・・・。
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エキスパートプロフィール
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<strong>黒澤</strong> 琢弥 イラスト

黒澤琢弥インタビューその6
番長、ライバルを語る-1 ファン-パブロ・モントーヤ

>MSC(以下省略):CARTで戦った中で印象的だったドライバーは誰ですか?

黒澤(以下省略):CARTのトップドライバーは全般的にジェントルマン。ジル・ド・フェランマイケル・アンドレッティマウリシオ・グージェルミンもみんなナイスガイ。右も左もわからないオレにコースや街を案内してくれたり、すごく親切だったよ。

>トップドライバーにしてジェントルマンなんてカッコイイですねぇ〜。

でもひとりだけ変わったヤツがいたなぁ。ファン-パブロ・モントーヤなんだけど(笑)。CARTのドライバーズミーティングには必ず神父さんが来ていて、最初にお祈りをするんだ。みんなが胸に手を置いて厳かにしているのに、モントーヤだけはピッピッピッってゲームボーイをしている(笑)。神父さんも呆れていたよ。

>ボクらが伝え聞いているキャラそのままですね。

モントーヤはゴーカートをやってる少年が、そのままCARTに来ちゃいましたーって感じだな。そのときの興味の対象がたまたま本だったり、ゲームボーイだったり、オネエチャンだったりすると、そっちに全部の意識が集中しちゃうんだ。

ジル・ド・フェラン:2度のCARTチャンピオン獲得と2003年のインディ500勝者という輝かしい実績を持つ。現在はF1のB・A・Rホンダにてスポーティングディレクターを務めている。

マイケル・アンドレッティ:CARTで42勝をあげた名ドライバー。通称、『ミスターCART』。2003年に現役引退。現在はIRLのトップチーム、アンドレッティ・グリーンレーシングのチームオーナー。

マウリシオ・グージェルミン:1988年〜1992年にF1で活躍した後、CARTに参戦。2000年当時、CARTの選手会長を務めていた。

ファン-パブロ・モントーヤ:1999年、2000年にCART参戦。初年度にシリーズチャンピオン獲得。翌年はインディ500で優勝するなど、桁違いの速さを見せつけた。現在はF1でマクラーレンをドライブ。F1界きっての『暴れん坊』との呼び声が高い。
<strong>黒澤</strong> 琢弥 写真

>アインシュタインとか天才肌の人に近いノリですよね。

思考がものすごくシンプルで、ふたつのことを同時にできないんだよ。そのかわり何かに集中し出すとハンパない。レースに集中すれば恐ろしく速い! ドライバーズミーティングでの話なんてまるで聴いていないのに、ぺロッて勝っちゃうんだからな。マジメにやってる方がバカバカしくなってくるよ。

ドライバーズミーティング:スタート前に主催者と参加チームが集まり、コースやレギュレーション、注意事項等の説明と確認が行われる。
>複雑な心境になりますよね。ヤンキーがテストで100点を取ったときみたに・・・。

頑張らなくても出来るヤツってどこの世界にもいるんだよな。トップカテゴリーにはそれなりに才能があるドライバーが集まってきている。でも、真面目に努力しても本当にズバ抜けた人にはなかなか追いつけないんだよ。オレらが持っていない特別なものがモントーヤにはあるんだ。

>驚異的な集中力も、生まれ持った才能なんでしょうね。

瞬発力や反射神経もオレらとは違う。例えば時速350キロでコーナーリングしているときにクルマが横に滑ったとする。普通は「ヤバイ!」って思った瞬間にコンクリートウォールの餌食。でも、モントーヤはヤバイ体勢でもカウンター当てて修正しちゃうんだ。連続写真を見ると、みんなアンダーステアでコーナーに入っているのに、モントーヤだけはオーバーステアだったり(笑)。物理的に考えても、そんなのってあり得ないだろ?

>うーん、超人的というかバケモノというか・・・。

モントーヤが勝ったミシガンでのレースは圧巻だったな。最終ラップまでマイケル(アンドレッティ)とホイール・トゥ・ホイールで競っていたんだけど、最後の4ターンでアウトからコンクリートウォールすれすれに入ってマイケルをかわしたんだ。減速しなけりゃターンできないラインにフルスロットルで飛び込んで優勝をもぎ取ったんだよ。

<strong>黒澤</strong> 琢弥 イラスト
>少しでもハンドルがぶれたらモントーヤは自爆。危なく大クラッシュでしたね。

マイケルは3ターンに入った時点で優勝したつもりでいたんだろうな。でもモントーヤの物理的にあり得ない走りに負けた。神業というか奇跡というか、アンビリーバブルなことを目の前でされたら、ガックリするだろうね。ホントに恐ろしい男だよ、モントーヤは。

カウンター:クルマのリアが滑り出してしまった場合に、反対方向へハンドルを切って滑りを止めるテクニック。

アンダーステア:ハンドルを切ったものの、予想通りにクルマが曲がってくれない現象。

オーバーステア:アンダーステアの逆。予想以上にクルマが曲がる現象。スピンなど、コントロールを失う可能性が高い。

ミシガン:ミシガン州ブルックリンにあるミシガン・インターナショナル・スピードウェイ。2000年当時は、CARTのビッグイベント、「US500」が開催されていた。

ホイール・トゥ・ホイール:タイヤとタイヤが接触しそうなほど、横並びで競り合っていること。サイド・バイ・サイドともいう。


エキスパートプロフィール
取材日:2005年6月16日
連載期間:2005年7月7日〜8月25日(全8回)


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