|
> MSC:レベル向上と比例して費用が高騰していくのはF1と同じ現象ですね。
安永(以下省略):
′00年は吊るしのGT3 Rでチャンピオン争いが出来たけど、′01年今年は表彰台には登れても優勝は出来ない。どうすれば勝てるのか? というと結局は新車を買って腕のいいドライバーを雇って、サスペンションも・・・と色々とお金が必要になってしまうんです。あとポルシェの場合は水冷になってから一層コストがかかるようになりましたね。今のポルシェのエンジンライフは30時間が目安なんですよ。
> MSC:本戦はもちろん、テスト走行の時間も増えてくるとなると益々懐が痛くなってきますね。
安永:
実はテストの方が本戦以上に消耗するんですよ。通常テストでは2日間で8時間近く走るんですけど、この8時間でエンジンの寿命を4分の1以上使ってしまったことになるんです。テストを4回して年間8レースに参戦したとすると、たった1シーズンで3基のエンジンを使い切ってしまうんです。だからレース数が増えるともう1基余分にエンジンが必要になってしまう。一般的な300kmレースならまだしも、1000kmレースが増えたりすると更に厳しくなってきますね。
> MSC:より安価な車種に替える、といった考えはないんでしょうか?
安永:
ポルシェ以外のクルマでGTに参戦するのは資金的に難しいですよ。910もポルシェがあればこそレースを続けていられるんです。
> MSC:それはどういうことでしょう? 高級スポーツカーのポルシェで参戦した方がよっぽど高くつきそうですけど・・・
安永:
ポルシェはモータースポーツビジネスを世界的に確立していて、プライベーターのサポート体制も万全なんです。車両やパーツの供給、アフターケアのシステムもしっかり整っているので安心ですし、僕にはポルシェで10年間続けてきた経験があるので、パーツリストを見さえすれば大まかな年間予算も算出できる。いろんな条件を踏まえて考えると910の場合はポルシェが1番安上がりなんですよ。国産のクルマで参戦しようとしても日本のメーカーとはパイプがないので速いクルマを回してもらえないでしょうしね。
> MSC:ポルシェと同じようなモータースポーツビジネスを展開している国産メーカーはないんでしょうか?
安永:
以前、某メーカーでポルシェと似たようなコンセプトでビジネス展開をしていこうという企画はあったみたいですよ。でもポルシェと同等の体制を作るのは並大抵のことではないらしく、結局は実現しませんでした。レース用の車両作りやサービスを国産メーカーがやった方が底辺拡大に繋がるんでしょうけど、現実には難しいようですね。
|
GT3 R:
ポルシェ911GT3 R。ル・マン24時間やデイトナ24時間などの伝統ある耐久レースをはじめ、世界各国のGTカーレースにおいて活躍。現在は911GT3 RSRへと発展している。
|
|
安全燃料タンク:
クラッシュした際に爆発や火災を最小限に抑える目的で、国際レースやラリー等ではJ A FやF I Aの審査に合格した安全燃料タンクの装着が義務付けられている。
|
|