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PORSCHEMANIA (4/4)
910レーシング オーナー兼監督 / 安永 孝
SUPER GT選手権に参戦するポルシェ・プライベーター、「910レーシング」のオーナー兼監督である安永 孝氏がエキスパートストーリーに登場!華やかな表の顔からは想像できない、レーシングチームのリアルな姿に迫る!?
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エキスパートプロフィール
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数々の輝かしい実績を収めてきたポルシェプライベーターの雄、「910レーシング」。10年間もの長きにわたって檜舞台で活躍し続けているのは、ひとえに安永氏の並々ならぬ努力と苦労の賜物といえよう。インタビュー最終回はチームの未来をも左右しかねない来年以降のSUPER GT選手権の方向性と費用面の問題について語ってもらった。
安永孝 写真

安永孝インタビュー最終回
「監督はつらいよ」

> MSC(以下省略):噂ではSUPER GT選手権のレース数が増えるといわれていますが、すでに来年の年間スケジュールは正式に決定しているんでしょうか?

安永(以下省略):正式に決定はされていません。しかし増えたレースへの参戦費用はいったいどこから出るんでしょうか?(笑) お客さんが呼べる人気シリーズだから、GTアソシエイション側がレース数を増やしたいのもわからなくはないですが、チーム側にも事情があるんです。年間の予算でスポンサーと契約を結んでいるんですから「レースが増えた分、余計にお金を出してください」なんてとても言えないですよ。

> MSC:GT300に参戦するプライベーターには痛い問題ですね。

安永: 10年前なら年間6レースだったし、ポルシェの場合はワンレース300万円くらいの予算で参加できたんですが、人気とともにレース数も増えてレベルも上がってきました。テストやチューンアップにも昔以上に沢山のお金がかかるようになってきていますね。

GTアソシエイション: SUPER GT選手権を運営する統括団体。
http://supergt.net/jp/
安永孝 写真
> MSC:レベル向上と比例して費用が高騰していくのはF1と同じ現象ですね。

安永(以下省略): ′00年は吊るしのGT3 Rでチャンピオン争いが出来たけど、′01年今年は表彰台には登れても優勝は出来ない。どうすれば勝てるのか? というと結局は新車を買って腕のいいドライバーを雇って、サスペンションも・・・と色々とお金が必要になってしまうんです。あとポルシェの場合は水冷になってから一層コストがかかるようになりましたね。今のポルシェのエンジンライフは30時間が目安なんですよ。

> MSC:本戦はもちろん、テスト走行の時間も増えてくるとなると益々懐が痛くなってきますね。

安永: 実はテストの方が本戦以上に消耗するんですよ。通常テストでは2日間で8時間近く走るんですけど、この8時間でエンジンの寿命を4分の1以上使ってしまったことになるんです。テストを4回して年間8レースに参戦したとすると、たった1シーズンで3基のエンジンを使い切ってしまうんです。だからレース数が増えるともう1基余分にエンジンが必要になってしまう。一般的な300kmレースならまだしも、1000kmレースが増えたりすると更に厳しくなってきますね。

> MSC:より安価な車種に替える、といった考えはないんでしょうか?

安永: ポルシェ以外のクルマでGTに参戦するのは資金的に難しいですよ。910もポルシェがあればこそレースを続けていられるんです。

> MSC:それはどういうことでしょう? 高級スポーツカーのポルシェで参戦した方がよっぽど高くつきそうですけど・・・

安永: ポルシェはモータースポーツビジネスを世界的に確立していて、プライベーターのサポート体制も万全なんです。車両やパーツの供給、アフターケアのシステムもしっかり整っているので安心ですし、僕にはポルシェで10年間続けてきた経験があるので、パーツリストを見さえすれば大まかな年間予算も算出できる。いろんな条件を踏まえて考えると910の場合はポルシェが1番安上がりなんですよ。国産のクルマで参戦しようとしても日本のメーカーとはパイプがないので速いクルマを回してもらえないでしょうしね。

> MSC:ポルシェと同じようなモータースポーツビジネスを展開している国産メーカーはないんでしょうか?

安永: 以前、某メーカーでポルシェと似たようなコンセプトでビジネス展開をしていこうという企画はあったみたいですよ。でもポルシェと同等の体制を作るのは並大抵のことではないらしく、結局は実現しませんでした。レース用の車両作りやサービスを国産メーカーがやった方が底辺拡大に繋がるんでしょうけど、現実には難しいようですね。


GT3 R: ポルシェ911GT3 R。ル・マン24時間やデイトナ24時間などの伝統ある耐久レースをはじめ、世界各国のGTカーレースにおいて活躍。現在は911GT3 RSRへと発展している。
安全燃料タンク: クラッシュした際に爆発や火災を最小限に抑える目的で、国際レースやラリー等ではJ A FやF I Aの審査に合格した安全燃料タンクの装着が義務付けられている。 
安永孝 写真
> MSC:もし国産メーカーがポルシェと同じようなサービスを始めて910をサポートしてくれることになったとしたら、乗り換えを考えますか?

安永: いや、僕は今後もポルシェと共にレースを戦っていこうと思っています。ポルシェが好きだっていうこともありますけど、10年続けてきた経験である程度はわかっていますからね。

> MSC:GT以外にポルシェで参戦してみたいカテゴリーはありますか?

安永: スーパー耐久シリーズに年間参戦してみたいですね。スーパー耐久シリーズならポルシェも十分に戦闘力がありますから、機会があればぜひ挑戦してみたいです。それとカレラカップにも興味があります。セッティング勝負のワンメイクレースで910の技術と経験を活かしてみたいですね。

> MSC:来期へ向けての豊富は?

安永: チャンスがあればチャンピオンを争えるような体制で挑みたいですね。当面は今のチームのパッケージで頑張るしかないと思っています。

> MSC:では最後に910レーシングを応援しているファンへのメッセージをお願いします。

安永: GTがどんな方向へ進んでいくのかはわかりませんが、ポルシェでより良い成績を上げられるように努力していきたいと思いますので、皆さん応援よろしくお願いします!

スーパー耐久シリーズ: 市販車のオリジナリティを重視したファインチューニングマシーンによる本格的耐久レース。
カレラカップ: ポルシェ カレラカップ ジャパン。世界14ヵ国で9シリーズ開催されているポルシェによるワンメイクレースの日本国内シリーズ。トップカテゴリーを目指すドライバーとレーシングチームのためのステップアップカテゴリーとして、数あるワンメイクレースの中でも最高峰のポジションに位置している。
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