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EXPERT STORY
エキスパートストーリー

世界一過酷なレース「パリダカ」でクラス部門優勝を遂げた男のチャレンジスピリッツ!!(4/4) | レーサー/三橋 淳

ライダーから、ドライバーへ……。『パリ・ダカール・ラリー』に惹かれ、挑み続ける男が、2007年、市販車無改造クラスで優勝を飾った。自然を愛し、モータースポーツをこよなく愛し、そして挑戦を続ける男のドラマに迫ってみよう!
TOP > エキスパートストーリー > 三橋 淳 > インタビューその4 最終回
エキスパートプロフィール
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華麗なるドライビングで、今年のパリ・ダカール・ラリーの市販車無改造車部門で優勝に輝いた三橋淳選手。逆境も味方につけてしまう強い精神力で、世界一過酷と呼ばれるレースで戦っている。そんな三橋選手インタビュー、最終回の第4弾だ!!

三橋 淳インタビューその4
「もっともっと、色々な人にモータースポーツを楽しんで欲しい」

> MSC(以下省略):今後はどんな形でレースに参加する予定ですか?

三橋(以下省略):今のチームは、モロッコテストなどに2回、3回と行くので、クルマに乗る機会にも恵まれましたね。やはりこのレースって、現地に行って走ってなんぼというところもありますから、現地で走れるのは、すごく良かったです。ただ今は市販車無改造というクラスなので、クルマ自体は遅いですよね。でもそれがかえって良かったと思っています。クラス優勝につながったワケですから……。しかしまた上のクラスへ戻る努力はしていきます。やはりパリダカで総合優勝を狙えるドライバーになりたいと思っていますし、「たられば」ですが、トップカテゴリーでもシングル順位に入れる実力があると、今でも自分では信じています。

>ドリフト車を手に入れたと聞きましたが……。

昨年の5月のマルチプレックスで、ドリフト車に乗る機会があったのですが、やはりそれもぶっつけでクルマに乗ったので、自分ではあまり思うように出来ませんでした。もちろんFR車に乗ったのも初めてで、流し方とかアクセルコントロールとか違いました。しかしこれは面白い、良いトレーニングになると思い、S14シルビアを購入しました。あのときはBMWに乗ったのですが、今乗せてもらえるならもうちょっと違うことが出来ると思いますよ。あのときも時間がなかったですね。

 僕はずっと4輪に乗って、基礎がしっかり出来ているドライバーだとは思っていませんから、もっとドライビングテクニックをもっと磨いていきたいですね。でも僕はフィールドから来ている人間なので、例えば今まで山歩きだったものが、自転車に変わって、バイクに変わって、それがクルマに変わったというだけなので、まったく戸惑いはありません。使っている道具が変わっただけです。そういう意味ではずっと一貫してやってきましたから……。最初は僕も2輪と4輪は違うものだと思っていましたが、そういったフィールドでの考え方では2輪も4輪も一緒だと思っています。


 僕はスノーボードでもオフフィストなゲレンデではないところで、バージンスノーを求めて滑るのが好きなんですよ。まあ人生もそうなんですけど、すべてにおいてオフフィストになれと僕は思っています。この感覚を僕は、スノーボードでもやるし、自転車でもやるし、バイクでもクルマでもやっている。そういう感覚で僕は今、モータースポーツと接しています。それとは別に、カートやドリフトの面白さも感じています。あんなにレース嫌いだった人間が、今ではレースが好きになっています。




>パリダカに出るまでは、レースというカテゴリーに対して、興味もなかったし共感もしなかったワケですよね。

それはただ単に、体育会系のノリが嫌いだったワケですが、それを認められるようになっています。今は優勝したいと思い、レースをしたいと思っています。

>パリダカの魅力とは、ずばり何ですか? 僕らからすれば、なんて過酷なことに挑戦しているのだろう、自分でもやってみたいけど無理な世界だなと思って、単純にその世界に挑んでいる人のやっていることのすごさを見て盛り上がっているだけですが……。

魅力っていうか、どういう風に攻略するか? というのが問われる場所だと思うのです。当然サーキットでのレースも攻略するということが楽しみのひとつだと思いますが、サーキットには明確に近い答えがあるじゃないですか。コーナーに対して、その理想にどうやって近づけていけるか? というのがサーキットだと思うのです。その理想に近づける技量が問われると思います。でもこっちの世界は、その理想の形を見つけることが優先なのです。この先を越えていくには、どれがベストなのだろう……と。このラインを描くのがベストだろうと思っても、それは人によって違う。さらにその自分なりのベストを思った通りに描ける技術が必要になる。この2通りの楽しさがパリダカにはあるのだと思います。

>たしかにサーキットでは、ほぼ同じ条件がいつも用意されていますよね。雨や気温とかによって路面コンディションの変化はありますが、コース自体大幅に変わることはありませんよね。しかしパリダカのようなフィールドは生き物みたいに変化していきますよね。決まった位置にいつもギャップがあるとは限らないし、風などによって砂丘も変化しますよね。

そういったことの判断を、常に問われます。常にそのなかでベストな状態を探し出し、ベストなラインを描く。それをずっと続けていく。それらが自分で判断出来るところがこのレースの魅力ですね。これには経験と自分をいかに信じられるかにかかっていますね。

>それにサーキットでのレースはドライバーひとりがクルマに乗っているという形ですが、ラリーにはナビゲーターも乗っている。これも大きな違いですね。

自分はオートバイでやっていたので、何でも自分ひとりでやってきました。でもクルマになってからは、ナビゲーターが存在します。今まで自分ひとりでやっていたことを他人に託すというのは、やはりストレスはありますよね。でも4輪からスタートした人は、最初から成立している分業制。ナビをする人、運転する人……。最初からそういって始めた人はストレスには感じないでしょうね。これはライダー出身だからあるストレスなんでしょうね。今まで僕は4名のナビゲーターと共にしましたが、3名はフランス人。そんな人たちに僕は助けられながらレースをしています。

>ずばり、オフの世界の魅力とは何ですか?

それは上下運動があることです。オンロードでは上下に動かないでしょ。左右だけですよね。昔面白い話を聞いたことがあります。「F1はオフロードに近い」というのです。それはやはりクルマが跳ねるという点だというのです。普通サーキットを走行しても市販車ベースの車輌やF3・GTといったマシンでもただの平面のコースなのに、F1のスピード域になると、上下運動が関わってくる場所が何ヶ所か生まれてくる。そういった上下運動のGにF1ドライバーは慣れているから、ラリーでも通用するというのです。片山右京さんはパリダカに出場しても、すぐに乗りこなしてしまうじゃないですか。そういった経験がF1にはあるというのです。F1ドライバーがパリダカを走っているというケースは多いですね。だから僕たちが思っているほどサーキットで走っているのとオフロードを走っていることの違いを、ヨーロッパ人は感じていないのかも知れませんね。

>日本もヨーロッパのように、モータースポーツがもっと華やかになるとうれしいのですが……。

パリダカのスタートは、1日に500キロ走ってしまうので、エリアはサーキットと比べても違いはありますが、それでもパリダカの1日の観客動員数は今年、55万人なのです。目の前を通過するシーンに、人だかりとなっている。そんなイベントなのですよ。そんなことからもモータースポーツの持つ力は、ヨーロッパと日本ではかなり違いはありますよね。日本の人にももっとモータースポーツが、本当の意味でのスポーツとして見てもらえたら嬉しいですね。みなさん応援して下さい。(了)


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